件名: あなたの強みは?

 

前回のメールで「自分が一番と言えるものを作ろう!」と書きました。

「伊藤さん。言っていることは分かるけれど、なかなか難しいよ…」

そんな声が聞こえます。

まさにその通り!

一番になろうと努力する前に、「何について?」で皆、悩んでしまいます。

 

「あなたにとって、高めるべき能力は?」

こういう質問をすると、ほとんどの人は、不足している能力を列挙します。

確かに、足りないものを、最低必要な水準に引き上げることは大事です。

しかし、そんなことばかりでは、「自分が一番」と言えるものは、いつまでたってもできません。

 

「課題」には、以下の2つのタイプがあります。

 

@弱いもの(不足しているもの/苦手なもの)を、標準的な水準まで持っていく

A強いもの(充足しているもの/得意なもの)を、更に高い水準まで持っていく

 

よく、「日本人は個性が無い(=金太郎飴のよう)」と言われますが、その理由は@の意識が強いから。

私はこれからの厳しい競争の中で戦っていくためには、むしろAの方が重要だと思っています。

以前、イチローのことを書きました。

彼は渡米する前に、最大の武器である「足」をさらに活かすために、走り方を変えたり、わざとゴロを打つ練習をしたのです。

 

もう10年くらい前のことですが、ウォークマンを開発した某S社のある部門の改革を担当したことがあります。

約半年間のプロジェクトでしたが、その中で何度も「さすが!」と感心することがありました。

そのひとつが、「良いところ」に対する考え方。

私が以前在籍していたコンサルタント会社では、現状分析のまとめとして、

必ず「問題要因関連図」というレポートを作成し、顕在化している問題点を整理していました。

そのレポートを見ていた役員の方が一言。

「『問題要因関連図』よりも『S社としての良いところの関連図』をまとめて欲しい。

S社に対してお客様が求めていることを伸ばすことによって会社を改革して行きたい」

S社の強みについては、「独創性」「マーケティング力」等いろいろなことが言われますが、

こうした企業風土こそ、実は最大の強みなのです。

 

それでは、皆さん自身の「良いところ、得意なこと」を挙げてみましょう。

「好きこそものの上手なり」と言いますので、「好きなこと」でもOKです。

もし、なかなか思い浮かばないようでしたら、これまでの周りの人から「誉められたこと」や、

「喜んでもらったこと」を思い出しましょう。

 

ここで挙がった項目が、「自分が一番!」になれるものの候補です。

「結構あるじゃない…」

そんな気がしませんか。