件名: 「一、初」を目指す
私が社長と2人でお客様を訪問した時のことです。
打ち合わせの途中で、社長が説明のために、紙を差し出し、何かを書き始めました。
私は隣で、その光景をながめていたのですが、一瞬にして目が点になりました。
紙に書きながらお客様に説明することは珍しいことではないですよね。
向かい合って座っている場合は、普通は、自分で書いた後、ひっくり返して説明すると思います。
ところが、某社長は、紙をひっくり返すことをしません。
対面しているお客様が、そのまま読めるように、字自体をひっくり返して書いているのです。
こんなことを考える人が他にいるかな……
ある時、朝礼で「某社長式五十音表」が発表されました。
「五十音表」というのは、皆さんご存知ですよね。
縦にアイウエオ、横にアカサナタ…と書いてある紙のことです。
ところが、「某社長式の五十音表」は、ひらがなでも、カタカナでもありません。
ハングル文字のようなものが並んでいて、ところどころにカタカナが混じっています。
「一体、これは何?」
説明によると、これは、某社長がカタカナを変形させたもの。
目的は、カタカナの字画を減らして、筆記するスピードをあげるためです。
昨日のメールの通り、某社長は、お客様との打ち合わせの時、会話を全部メモしているのですが、実は、全てカタカナで書いているのです。
その理由は、漢字よりも速く書けるから。
しかし、お客様の中には、早口な人もいるので、全部メモできないこともある。
それに対応するために、文字自体を変えてしまった訳です。
例えば、カタカナの「ネ」は4画ですが、2画まで書けば、他に同じような文字が無いので、それで分かる。
だから、「ネ」はこれから、最初の2画だけ書くようにする。
そうすれば、スピードは倍になる。
私も話を聞いていて、正直、「この人は正気か?」と思いましたが、実際に社長は、そうした字を2ヵ月間くらいは書きつづけていました。
その後、何か思うところがあって、元の通り、普通の「カタカナ」に戻りましたが…。
常に「一、初」を目指すべき。
某社長は、いつもそう言っていました。
「一」とは、「日本一、世界一」、「初」とは、「日本初、世界初」の意味です。
常識にとらわれずに、新しいことを考え、挑戦してみる。
私が社長から学んだ、「プロとしての姿勢」です。
料理人の世界でも、「独創性」が、ものすごく求められますよね。
どこでもあるようなメニューを、同じように作っても、お客様の反応は「まあまあ満足」程度で終わり。
プロ中のプロは、必ず、いつも新しいメニューや料理方法を考えているはずです。
くどいようですが、皆さんだって営業のプロであるはず。
置かれている状況は同じだと思いますよ。