件名:気づかい/心づかい

 

結婚して2年目の「伊藤家の食卓」での出来事です。

 

「あんた、脱いだ服ぐらい自分で洗濯機に入れなさいよ!」と、いつになく挑発的な妻。

「そんな細かいことグチャグチャ言うなよ! 俺だって仕事で疲れているんだから。」と私。

「私だって、ヨシミ(子供の名前)の世話で毎日大変なんだから。育児に土曜日も日曜日も無いのよ!」

「××××・・・」

「△△△△・・・」

「○○○○・・・」

まさに、売り言葉に買い言葉。

「夫婦喧嘩は犬も食わない。」と言いますが、その後、伊藤夫妻は3日間ほど、会話がありませんでした。

 

しばらくして、赤ちょうちんで先輩にグチをこぼしたら、先輩からひと言。

「お前、もう少し嫁さんに気をつかってやれよ。子育てで大変なんだから・・・。」

「大変なのは分ってますけど、家にいてまで、いちいち気をつかっていたら、疲れるじゃないですか。」

「そんなことないぞ。身内だって気をつかわなきゃ。それに、ケンカしてたら余計に疲れるだろ。」

「そりゃ、そうですけど・・・」

 

その時、私が先輩の言葉にどこまで納得していたかは疑問です。

しかし、結婚して10年以上経った今では、「まったく正しい!」と思えます。

 

人間、ずっと一緒にいると、どうしても甘えが出てきます。

それが身内だと、特にです。

「俺だって××なのだから・・・。そんなこと分っているだろ。俺だってお前のことを分っている。」という具合です。

でも、ずっと、「分っているだろ!」でいると、いつしか相手は思います。

「あの人は本当に自分のことを分ってくれているのだろうか?」

 

何かをしてあげることでも良いし、「ありがとう」「ごくろうさま」「助かった」 の一言でも良いのです。

たまには、「分っている。」ことを、しっかり示すことが必要です。

こうしたことが、相手に対する気づかい(心づかい)なのです。

そして、相手は「自分に気をつかってくれている」と感じたら、自分に対しても返してくれます。

気づかい(心づかい)は、誰かと一緒に何かをする時に、必ず必要な潤滑剤です。

オイル切れがまずいことは、この会社の人なら誰でも分りますよね。

これは、家庭でも、仕事でも全く同じことだと思います。

 

ちなみに伊藤家では、妻が疲れていて機嫌が悪い時は、夫が黙って台所で食器を洗っています。