件名:幸福三説

 

「運が良いとか悪いとか、人は時々口にするけど、そういうことって確かにあると、あなたを見てて、そう思う・・・・」

さだまさしの『無縁坂』です。

ちょっと引用が旧く、若い方には「なんのこっちゃ?」かも知れませんが、今日は「運」について少し考えてみましょう。

 

前回紹介した事例も、ひとことで言えば「運が巡ってきた」ようなものですが、ここ数年、私はずっと思っていることがあります。

それは、「運は偶然やって来るものでなく、呼び込むもの」ということです。

前回も、「お天道様は見ている」なんて、コンサルタントらしくないことを書きましたが、いろいろな会社で、いろいろな人を見ていると、本当にそのように「考えざるを得ない」ことが多いのです。

 

では、どうしたら「運を呼び込む」ことができるのでしょうか?

『五重塔』で知られる文豪、幸田露伴は『努力論』の中で、以下のように書いています。

(因みに、露伴は運=福と考えています)

 

<幸田露伴の幸福三説 :運を呼び込むための3つのポイント>

 

1.惜福 ・・・運を使い尽くし、取り尽くしてしまわないこと

例えば、営業で大口の顧客を開拓できたとします。

どんどん売上が上がるから、そこばかりに傾注してしまいがちです。

しかし、その時、それまでしっかりフォローしていた細かな得意先をないがしろにしてしまったら   どうなるか?

その大口顧客の調子が悪くなった時に、どうしようもなくなってしまうでしょう。

何でも「腹八分」といいますが、そうした姿勢が「運を持続させる」コツだと、露伴は説いています。

 

2.分福 ・・・運を独り占めにしないこと。一部は人に分け与えるようにすること

営業マンは、どこの会社でも基本的には「個人商店」です。

ひとりひとりにノルマ的な目標が与えられますし、また、それで評価されますので、どうしても利己主義に走りがちです。

特に、不況の中で、なかなか売上が上がらなかったり、先が見えなかったりすると、そういう傾向が強くなります。

例えば、本来自分のテリトリーではない地域のユーザーに複数台数の納入が決まったとします。

余裕がある時には、後のユーザーフォローのことを考えて、現地の営業マンに連絡し、売上の一部を分け与える人でも、不況になると、黙って隠したり・・・。

よくあるケースではないですか?

しかし、そういう時でも、「分福」の姿勢が大切だ、と露伴は言います。

  

3.植福 ・・・後の人のためになることを残しておいてあげること

「植林」という仕事があります。

木が育って伐採できるようになるまでには、何十年もかかります。

その頃には、木を植えた本人は老いているか、あるいは死んでいるかですので、その恩恵をこうむることはほとんどないでしょう。

しかし、それでも、その仕事に従事している人は木を植えるのです。それは自分の後の人のために。

「植福」とは、そういうことです。

どんな会社でも、「後の人のために」ということで、担当していた販売店情報を残すことを指示しまう。

まさに、こうしたことも「植福」です。

しかし、大事なことは、それが「本人の意思」で行われることなのか、それとも、「会社からの指示」で行われることなのか、だと思います。

「本人の意思」で行われた時に初めて、露伴が言う通り「幸運の女神が微笑みかけてくれる」気がします。

 

さて、みなさんはこの幸福三説をどう思いますか?

私は、全く共感するのですが・・・。