件名:思い出づくり

 

先日、ある勉強会で今年の6月にシチズン時計を定年退職した板橋さんという方の話を聞く機会がありました。

約1時間の話だったのですが、私にとっては、非常に有益でした。

 

「定年があと1年数ヶ月に迫った2001年の正月、私は40年あまりのシチズンでの人生を振り返ってみました。 

これまでに『仕事をした!』と実感できることを書き出してみたら全部で15ありました。 

そしてその戦績は13勝2敗。 我ながら『ここまでよく頑張ってきたな』と思いました。」

 

私はこの話を聞いて、「素晴らしい!」と心の中で叫びました。

13勝2敗という勝率に感心したのではありません。

「15回戦った」ということを「スゴイ!」と思ったのです。

 

昔、私は尊敬する木村さん(元ヤマハ発動機の企画室長。現ジュビロ磐田監査役。私の元お客様で、現師匠)から、次のように聞かれたことがあります。

 

「伊藤さん。『充実した会社人生』ってどういうことだと思う?」

あまりにも唐突な質問だったので、私が返答に困っていると、木村さんは次のように続けました。

「会社の中でどれだけ偉くなったとか、そんなことじゃないんだ」

「………」

「会社の中で充実した人生を送れたかどうかは、『思い出』の数で決まるんだ。 

だから、定年退職する時、その人にどれだけ熱く語れる『思い出』があるか。 

それが、一番大事なことなのさ。」

 

「重い言葉」だと思いませんか?

もう10年近く前のことですが、この言葉はいつも私の頭の中に残っています。

 

板橋さんの「15戦」にしても、その人の主観ですので、どの程度の仕事なのかは分かりません。

他の人から見れば、「大したこと無い」ことかも知れません。

しかし、そんなことは、どうでも良いことです。

自分自身で「戦った」という実感があれば、それだけで十分。

他の人から、とやかく言われることは無いのです。

板橋さんの顔には、戦いを終えた後の「すがすがしさ」がにじみ出ていました。

 

「思い出」をつくること…。

簡単なことではありませんよ。

ただ、なんとなく日々を過ごしていたのではダメ。

 

たとえ短期間でも、自分の力を限界まで出し切ってみること。

ちょっとキザな言い方をすれば、「燃える」こと。

それが「思い出づくり」のカギだと思います。

 

私はこれまで何戦してきたかな…

「1年1戦」を目指しているのですが…。