件名:プラス志向
以前、私が勤めていたコンサルティング会社での出来事です。
事務所の引越しをして間もない頃、社長がある若手のコンサルタントに話し掛けました。
「新しい事務所はどうだね?」
「そうですね…。広いし、綺麗だし、仕事はしやすいですね。ただ……。」
「ただ、何なんだ?」
「ただ、坂の上にあるので、朝、駅から歩いてくるのが、ちょっとシンドイですね。」
「バカヤロウ!!!!!!!」
「坂の上にあることは素晴らしいことじゃないか! おまえは夜まで仕事をすると疲れるだろ! 坂の上に事務所があれば、駅までの道は楽じゃないか! おまえのように、いつも『マイナス志向』だったら、良い仕事なんかできる訳がない!!!」
私は、ちょうど、その場面をそばで目撃していました。
「そこまで怒ることはないだろ」と同情しながらも、社長の言葉には、「ナルホド」と納得しました。
確かに、世の中、同じ状況について、プラス志向で考える人もいれば、マイナス志向で考える人もいます。
よくある話ですが、コップの中の半分の水を見て、「半分も入っている」という人もいるし、「半分しか入っていない」という人もいるのです。
私も、これまで、いろいろな会社のたくさんの人にお会いしましたが、「できる人」というのは、やはり「プラス志向」の人がほとんどです。
どうして、そうなのか?
「プラス志向」の人は、「もっと良くするためにはどうするか?」を常に考えるのに対して、「マイナス志向」の人は、「仕方が無いよ」とあきらめてしまう。
そこが、大きな差なのでしょう。
昔から、「モノは考えよう」と言いますが、その「考えよう」がとても大事なのです。
今、世の中が全体として不況であることは、誰もが認めることでしょう。
製品を買ってくれるお客様は少なくなっていますし、競争も厳しくなっています。
さて、この状況を見て、皆さんはどのように考えますか?
「この不況の中で、製品を買ってくれるお客様は20%も減ってしまった」と考えるのか?
それとも、「この不況の中でも、昨年と比べて80%の人が買ってくれている」と考えるのか?
「不況の中で、価格だけを見て買う人が多くなって厳しい」と考えるのか?
それとも、「不況の中でも、価格だけでなく、いろいろな点を考慮する人がまだまだいる」と考えるのか?
常に「プラス志向」でいることは、口で言うほど簡単なことではありません。
しかし、「プラス志向になろう!」と意識していると、だんだん、「プラス」と「マイナス」の比率が変わって
くると思いますよ。
私自身が今、努力中ですが…。