コクヨの文具のカスタムサービス
ギフトに使える名前入りのペンや手帳、自分だけのレターセット…。コクヨは日本橋の「ファクトリーボックス」でビジネスサービスとしては異例のサービスを提供している。
これが評判を呼び、同店は近隣に同業他社の店舗がひしめく激戦区にありながら、開業２年あまりで採算ラインに乗った。
コクヨは今春以降、同社製品を扱う文具店へのノウハウ供与を本格的に始める計画。
＜2000･2･3 日経流通新聞＞
＜ポイント＞
最近新聞を読んでいると、「カスタムメイド（顧客ひとりひとりの注文にあわせた製作）」の記事を頻繁に目にします。
事例の文具以外でも、靴、眼鏡、ジーンズ、自動車、オートバイ…。
様々な商品がカスタムメイドされるようになってきました。
こうした傾向には以下の２つの理由が考えられます。
�@     コンピュータを始めとしたＩＴ技術の革新により、一品一品製造しても、コスト的にそれほど大きなアップにならなくなってきた。
�A     消費者の「自分にピッタリの製品を持ちたい。他人と違う物を持ちたい」というニーズが高まった。
このような「カスタムメイド」について、「どうせニッチだから」という考えは、非常に危険です。
コンピュータ業界に目をむけると、デルやゲートウェイの発展で分かるように、「カスタムメイド」が重要な競争要因のひとつになっています。
これまで、「不特定多数の消費者に対して、同一製品を大量販売してきた」多くの企業にとっては容易なことではありませんが、こうした「世の中の流れ」を真摯に受け止め設計、部品調達、生産といった製造プロセスの改革により「カスタムメイドにも対応できる」体制づくりを構築しておくことは非常に重要なことだと思います。
複写機でコニカとミノルタが提携
コニカとミノルタは両社の技術を持ち寄り、デジタル複写機やプリンターの基幹部品を共同開発し、共通化する。複写機市場はリコー、キャノン、富士ゼロックスの三社による寡占状態にあるが、コニカ、ミノルタの両社は「提携で商品開発のスピードを速める」ことにより上位三社を追い上げる。
＜2000･4･25 日本経済新聞＞
住友、明治生命がＩＴ提携
住友生命保険と明治生命保険は新システムの開発など情報技術（ＩＴ）分野を軸に提携する。
ＩＴ投資を共同化して負担を圧縮するのが狙いで、インターネット技術の導入や企業年金管理システムの開発で幅広い協力関係を築く。
規模と販売力で他社を圧倒する日本生命に対抗することが狙い。
＜2000･4･25 日本経済新聞夕刊＞
ワタミ、ケンタッキー、モスフードが系列を超え店舗管理会社を設立
日本ケンタッキー・フライド・チキン、モスフードサービス、ワタミフードサービスの外食大手三社は、共同出資会社を発足し、店舗運営支援事業に乗り出す。店舗の清掃、機器メンテナンスから始め、人材派遣なども手掛ける計画。将来は食材の共同購入も検討する見通し。
スケールメリットによる低価格戦略で他社を圧倒するマクドナルドに対抗するための企業連合の位置づけ。
＜2000･4･28 日本経済新聞＞
＜ポイント＞
最近新聞を読んでいると、毎日のように企業提携の記事を目にします。
上記の例以外にも、川崎製鉄とＮＫＫが物流・購買分野で提携し新日鉄に対抗するなど枚挙にいとまがありません。背景としては、今後、成熟市場の中で優勝劣敗が進むことです。
トップ企業は企業規模を活かして、圧倒的な投資力を武器に一気にシェアの獲得に乗り出します。
二位企業（いわゆるチャレンジャー企業）は、負けじと対抗策を講じてきますが、このような市場では、弱者はますます厳しい立場に追い込まれます。
従来、日本企業の特徴として「自前主義」がありましたが、もはやこうした主義に固執していると生き残りが危うくなります。
「敵の敵は味方」とか「競争と強調」などが最近のビジネスのキーワードになっています。
しかしながら、何でもかんでも提携が本当に良いことなのでしょうか？
もちろん、不足部分を「補完」するということは必要だと思いますが、その前提としては、まずそれぞれの企業が、市場の中で存在価値がある「何か」を持っていることが必要だと思います。
ただの「烏合の衆」では、いくら提携しても上位企業に勝つことは難しいと思います。
東芝が日本語ワープロから撤退
東芝が日本語ワープロから撤退する。１９７８年の日本初のワープロ発表で始まった
２２年の歴史に完全に幕を下ろすことになる。ワープロは１９８５年以降年賀状の作成などに家庭で使われるようになり、１９８９年には２７１万台のピークに達した。
その後、パソコンの低価格化が進み、価格差がなくなったワープロが行き場を無くし１９９９年には７５万台とピークの３分の１まで減少した。
東芝のワープロ撤退はＩＴ革命と言われる今日、日本語ワープロが製品としては役割を終えようとしていることを象徴するが、仮名漢字変換システムを始めとした技術はパソコンや携帯電話など現在の情報機器に形を変えて引き継がれている。
＜2000.6.22 日経産業新聞＞
＜ポイント＞
私がマーケティングの研修でプロダクトライフサイクルの説明をする際に、事例として必ず挙げるのがワープロです。
誰もが知っている身近の商品であり、また、衰退理由もパソコンの高性能、低価格化というように非常にわかりやすいからです。
昔、ワープロが全盛の頃、コンサルタント仲間で「ワープロが将来無くなるかどうか」について議論したことを思い出します。
当時は、パソコンの機能がここまで進化し、さらに低価格になることは予想できなかったので、「ワープロは文書作成専用機として残る」という意見の人も結構いたと思います
今、振り返ってみると、やはりウィンドウズの出現が大きなポイントだったと思います。
それまでのパソコンと比べ、操作性が一気に高められ、この時点で、ほとんどの人が「ワープロ市場はいずれパソコンに切り替わる」と感じたと思います。
それでも、その後ワープロは、インターネット対応やスキャナー、デジカメ等の連携等、「生き残り」を賭けて必死に進化しましたが、結局無駄な努力に終わりました。
「いくら必死にもがいてみても大きな時代の流れには逆らえない。」
改めて実感します。