マツダの希望退職に応募殺到
マツダが募集した1,800人の早期希望退職に応募者が殺到し、社内が混乱している。
会社側は急遽、受付開始時間の19日午前10時ちょうどに提出した2,213人の希望退職を認めることにしたが、10時1分以後の提出組は不受理となった。
辞められない社員から人事部に苦情が相次ぎ、まだまだ尾を引きそうな情勢。
今回の希望退職の主な対象は40、50代の固定費負担が重い年配社員。30代の枠は
1,800人中の350人だったが、30代の退職者は目標を5割上回る525人に達し、中には財務や営業のエース級も含まれている。 
                                            <2001.2.28 日経産業新聞>
<ポイント>  
日産自動車、三菱自動車と、自動車業界では近年、外資系企業の資本参加が進んでいます。マツダはその中でも、最も早く、フォード主導で経営改革に取り組んできた会社です。5年前からフォード出身者が社長に就任し、購買コストの低減や、開発体制の見直し等を行いました。その結果、一時期、業績が急回復し外資系企業の経営参加の好例として評価されましたが、最近また、業績が低迷しています。
ある、人材紹介会社の話では、昨年の今ごろは日産の人たちが、こぞって訪問してきたそうですが、今は、そういう人はほとんどなし。逆にマツダや三菱自動車の人が急速に増加しているということです。
最近、特に若い社員は、会社の将来性に敏感です。「今が悪くても、将来的には良くなる」と思えば、その会社に対する忠誠心も高まり、「この会社で頑張ろう!」という気になります。一方、逆に、「もう駄目かな」と思うと、意外なくらいあっさり会社を辞めるという行動に出ます。
マツダについては、一時期の業績回復の実績があるが故に、今後の経営改革が難しいと思います。いわば、「風邪のぶり返し」状態です。
社員の中には、「やっぱり駄目かも」という意識がどこかにあると思います。
この「やっぱり」の気持ちを変えることは、初めて経営改革に着手した時よりもはるかに厳しい道のりでしょう。
経営改革は、「集中的/徹底的」がポイントであり、少し成果が出たからと言って途中で手綱を緩めると、後で大きなシッペ返しが待っています。
       
森永乳業が牛乳宅配を65万世帯拡大
森永乳業は牛乳、乳製品の宅配事業を強化、来年度中に世帯数を3月末見込みに比べ35%増やし、250万世帯とする。
販売店を1年間で200店増やしてセールスを強化する他、無料電話やインターネットを利用した消費者への健康チェックなどを通じて新規顧客の開拓を進める。
宅配牛乳は低価格化が進むスーパーなどの店頭販売に比べて利益率が高いため、安定した収益基盤の確保を狙う。
                                            <2001.3.16 日経産業新聞>
<ポイント>
宅配牛乳は量販店の安価牛乳の影響で、一時期衰退の一途をたどりました。
しかし、最近はこの記事のように「復活」しつつあります。
その理由は、「高齢化」「健康志向」という顧客側の変化と、「宅配専用商品の開発」といった企業努力です。
近年のIT化の中で、「CRM(client relation management)=顧客との関係維持のマネジメント」の重要性が叫ばれていますが、こうした宅配のように、毎日直接お客様と接点を持てる商売ほど強いものはありません。
家族の状況など、デジタルデータにならない重要情報を日々キャッチできます。
最近、外食企業やコンビニなど、いろいろな会社が宅配市場に参入していますが、
「餅は餅屋」というように、牛乳宅配業者も案外、侮れない存在になるかも知れません。
       
アイワが国内全工場を閉鎖
アイワは2002年3月までに、生産子会社であるアイワ岩手など、国内4工場を閉鎖すると発表した。すでに、内外9工場を1工場に集約する方針を決定済み。国内工場の閉鎖に続いて、海外生産拠点も閉鎖、もしくは売却を進め、マレーシア工場に集約する方針を固めた。ソニーの支援を得つつ、抜本的な工場集約と人員削減で経営再建を急ぐ。
                                            <2001.4.18 日経産業新聞>
 <ポイント>
 実は、アイワはTHANKSの第1号「事例に見る『戦いに勝つための基本パターン(1)』で、成功例としてとりあげた会社です。
いち早く海外生産を軌道に乗せ、量販店に対してコンテナのままで納入できるシステムなど、「安くできる仕組み」を構築し、ミニコンポ市場で、他社を圧倒していました。
4年ほど前に書いた特集ですが、当時は、今のような状況に陥ろうとは、全く想像できませんでした。
アイワの没落の原因は、MDやDVDといったAV機器のデジタル化の波に乗り遅れたことと言われています。
それにしても、何と時代の変化が早いことでしょうか。
最近、ビジネスの世界では、「失敗は成功のもと」ではなく、「成功は失敗のもと」と言われています。
過去の成功体験にひたっていると、あっという間に、時代に取り残されてしまいます。
経営の舵取りがとても難しい時代になりました。
       
横河電機が給与を職務内容で決定
横河電機は今年度から、管理職の人事給与制度を抜本的に改革した。毎月支払う給与の算定基準を、従来の個人に付随した社内資格から、職務に付随した等級に移行するのが特徴。年齢や経験に関係なく、職務として与えられた仕事によって給与が決まる。
職務に対する実績の評価を厳密にしたうえで、給与の高い職務への異動申請も奨励。管理職の社内の流動化を進め、士気を高めるのが狙いだ。
                                      <2001.4.18 日経産業新聞>
<ポイント>
横河電機は、昔から、「横河家族主義」と言われるくらい、組織の和を大切にする会社です。
リストラは行わず、社員の雇用を最優先に考えるという企業方針自体は、今も変わっていません。
しかし、そんな横河電機でも、上記のように、実力主義の人事制度を採用するようになってきているのです。
ここ数年、私の知っている会社はほぼ全て、人事制度を見直しています。
前号のTHANKSでも書きましたが、今後の企業の盛衰は、まさに「人材」次第と言えます。そして、「人材」=「能力」×「モチベーション」と考えた時、従来の護送船団的人事制度の抜本的な見直しは当然の帰着点です。
しかし、本当の勝負はこれからです。
人事制度の改定の「狙い」や「目的」を本当に実現することができるかどうか?
それはまさに、人事制度だけでない、組織運営全体の問題です。
その成否が、今後の企業の盛衰を左右することは言うまでもありません。
日商岩井石油がセルフ式給油所の事業を強化
日商岩井の石油卸・小売子会社の日商岩井石油は、利用客が自ら給油するセルフサービス方式の給油所関連の外販事業を強化する。石油各社は運営コストが安いセルフ式給油所を増やしている。同社はセルフ式給油所開設に必要な機器を販売する営業体制を拡充し、外販事業を直営のセルフ式給油所と並ぶ収益の柱に育てる。
                                            <2001.6.22 日経産業新聞>
<ポイント>
最近、私の自宅(所沢市)の周りでも、セルフ式のガソリンスタンドが目立って増加してきました。
アメリカを旅行したことがある方ならば、日本のフルサービスのガソリンスタンドを見て、いずれはセルフになるだろうと、考えたことがあるのではないでしょうか。
実は、今から5年前、外資系のある会社がセルフ式のガソリンスタンド設備を拡販するために攻勢をかけました。
セルフ式設備の品揃えを強化したり、24時間のサービス体制を整えたり、多大な投資を行いましたが、結果としては、うまく行きませんでした。
その理由は、ひとことで言うと「早すぎた」ことです。
当時は、セルフスタンドが解禁になり、マスコミも皆、「今後セルフが急速に広がる」と書き立てていました。
正直言って、私もそのように思っていました。しかし現実は、日本のセルフ化は予想以上に遅いものでした。
戦略の要のひとつに、「時代の変化を見逃さず、勝負に出る時には一気に行く」ということがありますが、時代を読むことの難しさを改めて痛感します。
ホンダベルノ東海がイベントや車検情報を携帯メールで配信
ホンダベルノ東海は、携帯電話のメール機能を利用した会員制情報は威信サービスを始める。新車の発売や車検、保険等の情報を会員ごとに個別に配信。車にかかわるきめ細かな情報提供で顧客を囲い込みサービス需要の取り込みにつなげる。新サービス「ブイ・テムズ」の入会金や年会費は無料。今年4月から会員募集を始めており、現在、20〜30代前半の顧客を中心に約1,000人が会員登録している。
                                        <2001.6.18 日経産業新聞>
<ポイント>
インターネットを活用した、顧客の囲い込み戦略です。携帯メールの主ユーザーは新車購入に関心を持つユーザー層と年齢的に近く、的を射た戦略と言えるでしょう。
しかし、インターネットによるこうした情報提供は、最近多少陰りが見えます、情報提供を行う会社が急速に増加したため、顧客から見た新鮮さが失われつつあるからです。
パーミッションマーケティング(客先に予め送付の許可を得て情報を提供する手法)が一般的になりつつありますが、結局、「メールは来たけれど、開かずに削除」するという人が増えて行くと思われます。
こうした「選別」の時代の中では、お客様から見て、「見たくなる」ようにするための「知恵」がカギになるでしょう。
私見では、単なる製品やサービスの売り込みではなく、「ゲーム」等を絡めた「遊び心」
がキーワードのような気がします。
1〜6月倒産 負債総額戦後二番目
企業倒産が高水準で推移している。帝国データバンクの集計では1〜6月の負債総額は上期としては戦後2番目の高水準となった。
                                            <2001.7.16 日経産業新聞>
<ポイント>
倒産企業で特徴的なことは「老舗と地方」です。
今年上半期に倒産した企業の中で、創業30年以上の老舗企業は全体の24%にものぼります。
産業の構造改革の中で、これまで堅実経営で生きてきた会社がバタバタ死んで行っているのです。
地方の倒産が目立つ理由は、景気の落込みに加え、地銀、第二地銀、信用金庫、信用組合等の地方金融機関の地盤沈下です。
来年4月からのペイオフ(預金等の払い戻し保証を一定額までとする措置)を控えて、地方金融機関は選別の嵐に巻き込まれており、生き残りのために「つぶしやすい」中小企業を見捨てる傾向にあるのです。
また、昨年施行された民事再生法は、企業経営者にとっても「倒産しやすい」環境をつくりました。
従来の会社更正法は、申請した場合、その経営者は必ず退陣に追い込まれましたが、民事再生法では、旧経営者がそのまま居座ることができます。
民事再生法は、いわば合法的に借金を棒引きする手段でもあるのです。
参院選で、小泉内閣が信任され、いよいよ構造改革が本格化されます。
「痛みを伴う」と言われていますが、その「痛み」をモロに感じなければならないのは、企業体質が旧態依然で、かつ体力が乏しい中小企業です。
さて、こうした状況の中で、営業マンはどうしたら良いのか?
どこの会社でも、営業マンは厳しい事業環境の中で目標を達成すつために、「頑張って売ってこい!」と言われています。
車だってアクセルとブレーキは同時に踏めないように、「怖いから売らない」というのは、現実的には無理でしょう。
結論は、「注意しながら運転する」ということです。
つまり、「債権管理をしっかり行うこと」と「今まで以上にお客様の動きに注意することです。
「お客様の動きに注意する」ということは2つの方法があります。
一つは自分の目で見ること。
「売上の急激な減少は無いか?」「ベテラン社員等の退職はないか?」「社長が不在の時間が急に増えていないか」これらは、倒産企業の一般的な兆候です。
もう一つは、周りからの情報収集。
銀行はもちろんのこと、同業者内の噂も重要な情報です。
イチローの生き方
「今年、一番活躍した日本人は誰か?」と質問したら、多くの人が「イチロー」と答えるでしょう。それほど、今年の彼の活躍は衝撃的でした。
12月17日〜21日まで、日本経済新聞の夕刊に「技あり!走攻守」というタイトルで
イチロー選手のロングインタビューが掲載されていました。
読んでいて、「なるほど」と思うことが何度もありました。
業界は違いますが、われわれの仕事にも参考になると思いますので、ご紹介します。
●コーチが代わるたびにファッションのようにバッティングスタイルを変えていたら、結局自分の形を見失い、首を絞めることになると思う。
だから、それだけはしたくなかった。どうせだめになるなら、自分が思ったことをやって終わった方が後悔しないだろうと考えたのです。
●大リーグの選手たちは自分のことを実によく知っている。
今の僕にとっても大事なのは自分をよく知ること。自分が今やるべきことは何か、をしっかりわかっていることだと思います。
何年たっても、そういう選手でありたい。そうすれば、変化に対応することも可能だと考えます。
●野球好きの子供たちに望むのは、まず自分が使うクラブやバットなどの道具を大事にすることです。
職人さんが丹精込めてつくってくれたグラブが汚れれば、ほこりをとる。
バットもスパイクも同じです。道具を大事にする気持ちがあればプレーも大切にするようになるし、取り組み方が変わってくる。
●現状に満足してしまっては、それ以上の進歩は望めないわけだし、進歩への努力を
しないことは、人間としての魅力を失ってしまう可能性がある。
一番の基本は自分がやっていることが好きかどうかです。
どんなときでもやっていることが好きでいられれば、もっと上を目指そうとする。その時の行為、努力、いろいろな要素が人間をつくっていくと思うのです。