念頭あいさつ2002
1月の新聞に、各社トップの「年頭あいさつ」が掲載されていました。
他社の人たちがどんなことを考えているのか?
今の世の中の現状を「知る」上で、非常に参考になりますので、抜粋して紹介してみます。
KDDI:小野社長
「荒波を乗り越えるためには、常識を打ち破る取り組みが欠かせない。
既成概念を白紙に戻し、非常識と思われていたことも敢えて肯定的にとらえると新しい糸口が見つかるはず。顧客をKDDIの方に向かせる発想を捨て、こちらから顧客との距離をちじめる意識改革が必要だ。」
アドバンテスト:丸山社長
「2002年は厳しい事業環境となるが、敢えて『新生』の年として、既存の概念にとらわれない斬新な手法を取り入れ、さらに飛躍したい。取り組むことは大きく3つ。新たなビジネス・スタイルの立ち上げと、マーケティング強化による市場シェアの向上、そして社員一人一人の活動による企業価値の向上だ。」
富士写真フィルム:古森社長
「新しい技術が発展し、そこから新しい産業が生まれるという基調は今年も変わらない。
しかしその流れは従来よりも速くなる。これについて行かないと、企業の存続はありえない。
時代を先取りした独自製品やビジネスモデルを作り出す努力が必要だ。
全員が危機感を持って、各自の課題にチャレンジし、成長・発展への道を切り開いて欲しい。」
スズキ:鈴木会長
「昨年は今までの考え方が21世紀には通用しないと実感した1年間だった。
2002年は『スズキのやり直し元年』とし、グループ全員が知恵を出し合い、21世紀にふさわしい『モノづくり』を模索する。
品質もコストもスピードも世界の厳しい競争の中で生き残るためにはどうしたら良いかをとことん考え実行する1年にしたい。」
ライオン:高橋社長
「今年も冬の時代がまだまだ続く。創業の原点である『すべては市場から出発する』を想起しよう。商品開発力、店頭販売力と全社的コスト削減の推進が市場の要求への回答になる。
右肩下がりの経済では、今までにない思い切った改革が必要。
110年の伝統である『不撓不屈(ふとうふくつ)の精神』『挑戦と創造の心』を再認識し、
現在の困難をそれぞれの立場で乗り切れるように全力を尽くして欲しい。」
積水ハウス:和田社長
「今年は勝ち組として市場に残るための正念場だ。自分たちの商品と能力を信じ、コンサルティング営業を徹底すれば必ず顧客から理解を得られる。
顧客満足を基盤しながら積水ハウスが勝ち残って行くことが、過去150万戸もの販売実績に対する責任の果たし方でもある。」
穴吹工務店:穴吹社長
「昨年は長い歴史のある企業が次々と倒産したが、
それまでのインフレ経済下での経験則がデフレ時代には全く役立たないことが証明された。
『明日があるさ』という歌がリバイバルヒットしたが、今がダメだけれど明日があるのではない。
今日、自分がやるべきことをきちんとやってこそ明日があるのだ。
我々にとって1番の強み、原点は何なのか、今一度考えて行きたい。」
上記の企業は、日本を代表する企業ばかりですが、共通する点が2つあります。
ひとつは「時代の変化の認識と強烈な危機感」。
どんな会社でも、「時代の変化」に乗り遅れたら倒産してしまいます。
そして、「今」がまさに、変化に乗り遅れるかどうかの正念場なのです。
もうひとつが「社員ひとりひとりに対する意識と行動の改革」。
いくらトップが旗を振っても、他の社員がついてこなければ、必ず企業は滅びます。
今回の特集でも書いた通り、厳しい時代になればなるほど、ひとりひとりの「力」が重要になるのです。
化粧品大手が中国で販路拡大 
化粧品大手が中国出店を強化する。資生堂が3年後をメドに主力ブランドを取り扱う百貨店を300店に拡大。カネボウやコーセーは高級百貨店を軸に拡販する。
中国では、沿海部を中心に個人所得が上昇し、化粧品市場が広がっている。世界貿易機構
(WTO)加盟で取引環境の改善も期待できるため、各社は販路を拡充する。
                     <2002年2月27日 日本経済新聞>
<ポイント>
最近、中国は「世界の生産拠点」として脚光を浴びていますが、国が豊かになるにつれて、
「消費地」としての魅力も急速に高まっています。
何といっても、世界一の人口を抱えており、消費のポテンシャルは計り知れません。
さて、こうした市場をどうやったら攻略できるのか?
各社しのぎを削っていますが、特に「ブランド」戦略は極めて重要です。
基本品質は中国の国内メーカーとそれほど差はなく、価格は断然高いし、模造品は沢山ある。
そうした不利を補うためには、無形の価値をどれだけアピールできるかがポイントになります。
その最たるものが、まさにブランド。
近年、アジア諸国では、特に若者の間で日本発のファッションやミュージックが流行しているそうです。
そうした流れにうまく乗って、ジャパニーズブランドとしての地位を確立できれば、かつて、欧米の企業が日本市場で成功したことを再現できると思います。
三井リースが診療所開設を支援
三井リースは医師の診療所開設を支援するサービスを4月に始める。開業を希望する医師を会員に募り、開業候補地の市場調査や事業収支シミュレーションなどの情報を提供するほか、医療機器や臨床検査といった関連企業を紹介する。
診療所開設に早期から深くかかわることで、医療機器リースの需要をつかみ収益機会を拡大する。
                    <2002年2月4日 日経産業新聞>
<ポイント>
リース業界は、昨年の不景気の中でも、比較的堅調に取扱い量を伸ばしてきました。
一括した資金拠出を回避しようとするユーザーや、回収リスクを軽減したい売り手のニーズにマッチしたことが理由です。
しかしながら、今年に入って、さすがに落ち込みが目立ってきています。
そうなると、当然、競争が激化し、ますますリース料率の低下を余儀なくされます。
こういう状況の中、各社とも他社との差別化を図り、収益を確保することに知恵を絞っていますが、今回の事例のような「付加価値の提供」は、その基本的な方策です。
しかし、そうは言っても一朝一夕にノウハウを構築することはできません。
今後、リース業界も、他の業界との商売上の提携戦略が非常に重要になってくることでしょう。
ベアゼロ時代の到来
金属労協(IMF、JC)加盟の主要4業種の経営側が13日、今春闘の一斉回答をした。
業績急回復の日産自動車を除いて、軒並みベースアップ(ベア)ゼロを回答、定期昇給のみの
妥結となる。 長引く不況で経営破たん企業も増える中、今春闘は当初から「雇用か賃金か」が争点。 経営側は「競争力再生」を前面に押し出しており、長年続いてきた賃上げの構造は様変わりとなった。
                     <2002年3月14日 日経産業新聞>
<ポイント>
今三月期の連結経常利益が1兆円を超える見通しのトヨタでさえ、ベアゼロの回答。
今期の春闘はまさに、日本型雇用システムの崩壊を加速したものになりました。
では、そうしたシステムの崩壊をどれだけ組合側が納得して受け入れられるかどうか?
デフレ経済の進行や、日本企業の世界的な競争力低下という「現実」を考えたら、経営側の
判断は妥当なものだと思います。
しかし、旧態依然とした体質の組合に理解してもらうことは、なかなか難しい。
私の会社の組合も、まさにそうした類の組合です。
執行委員と話をしても、正直言って、ちょっと時代感覚がずれているような気がします。
改革を進める上では、組合との協調は欠かせません。
しっかりと企業の置かれている立場を理解し、「何をすべきか」を判断すること。
これからの組合幹部には、まさに、経営者的な感覚が必要だと思います。
ユンケルで若年層開拓
佐藤製薬は主力ドリンク剤「ユンケル」ブランドをテコ入れする。20〜30歳代向けの新シリーズ4品を投入、今夏をメドに女性向けも一品追加する。ユンケルの顧客層は従来、40〜50歳代が中心。新シリーズで若年層を開拓する。
                     <2002年4月17日 日経産業新聞>
トミーとセコムの提携による子供向け防犯機器
トミーはセコムと提携、子供向けの防犯機器の開発・販売に乗り出す。セコムの位置情報提供サービス「ココセコム」をトミーの販売網で販売するほか、ココセコムを組み込んだ新製品を共同開発する。両者は共同で子供向けセキュリティー市場を開拓していく。
                     <2002年4月17日 日経産業新聞>
<ポイント>
上記の2つの記事は、同じ日に日経産業新聞に掲載されていたものです。
どちらも、典型的な「新市場開拓戦略」ですが、最近、こうした記事を多く目にするようになりました。
市場の成熟化と競争激化の中で、「食い扶持」を稼ぐために新しい市場を開拓しようとする試みは当然のことでしょう。
しかしながら、こうした戦略も効果を上げることは容易ではありません。
たとえば、ユンケルの場合、まずネックになるのがブランドイメージ。
タモリが出演してきたCMで、「中高年層向け」のイメージが定着してしまっていますが、それをどうやって変えて行くか。
今年の1月からイチロー選手を起用していますが、今後の若年層へのブランドの浸透は未知数です。
私は個人的には、少し違和感を持って見ています。
それから、今後、女性層を意識するとしたら、価格設定も再考せざるを得ないでしょう。
今のユンケルの単価は800円から3000円。
果たして、この金額が女性の財布に合っているのか、私は、ちょっと疑問です。
マーケティングを勉強するとき、よく過去のケースが題材になりますが、現在進行形の事例について、自分なりの「見識」で結果を予想することは、マーケティング力を高める上で、非常に重要なことだと思います。
大日本印刷が明細書などを電子化
大日本印刷はビジネス文書の電子化に乗り出す。電話やクレジットカードの利用明細や金融機関の資産運用報告書などの文書を電子化する新しいサービスを近く始める。紙の印刷物と同じ形式の書類をインターネットで配信できるのが特徴。原稿作成コストや郵送料などが削減できる。大日本印刷では同サービスを武器に官公庁が発行する書類の電子化を狙う。
                     <2002年5月29日 日経産業新聞>
<ポイント>
「大日本印刷という会社はどういう会社ですか?」
こんな質問をしたら、きっとほとんどの人は単純に「印刷会社」と答えるでしょう。
しかし、大日本印刷は、日本の中でも有数のIT(情報通信技術)先進企業なのです。
IT化が進行すればするほど、本業の「紙」は減って行きます。
一見、「自分で自分の首を絞めている」ように思えます。
では、なぜ印刷会社がITビジネスを率先して展開しようとしているのか?
それは、ひとこと「企業を存続・発展させる」ため。
企業をとりまく事業環境は刻々と変化します。
そういう中で、「自分は××しかやらない」というのは非常に危険なこと。
過去の強みは、将来の弱みになり得ます。
本当に危機意識が高い会社は、自分の手で自分の強みを壊すようなことをするのです。
これは、他の会社からの攻撃を防ぐ事前対策なのです。
ちょうど私の前のテレビでは、アートネーチャーが「ヘアサポート」のCMが流れています。
皆さんの会社はいかがでしょうか?
発泡酒を各社一斉値下げ
ビール大手4社は21日発泡酒の主力製品の希望小売価格を一斉に値下げする。5月31日にアサヒが「本生」の値下げを急きょ決定し、これを機に追随する動きが加速した。各社は消費者が「価格不振」を抱かないよう、対応に追われている。
                     <2002年6月21日 日経産業新聞>
<ポイント>
発泡酒が本当に安くなりました。
値下げが実施された週末に、私は自宅近くのディスカウントストアに買い物にでかけましたが、値段を見てビックリ。
サッポロの「生搾り」が、なんと350ml×24缶で、2,058円で売られていました。
1本あたり86円!
清涼飲料水だって、そんなに安くはありません。
まさに、デフレ経済の象徴のような出来事です。
今回の値下げは、キリンの「極生」が引き金になりました。
パッケージを簡素化し、広告宣伝費も削った上で、他の商品よりも10円安い価格を設定しましたのです。
ということで、もともとは「値下げ」ではなく、「安価品」の市場導入だったのですが、「安価品」といっても、中身自体は変わらない。
結果的には、135円という「極生」の価格が基準となり、全ての商品に値下げが波及してしまった訳です。
アサヒにしてもサッポロにしても、当初は135円への値下げは「期間限定」としていました。
しかし、6月29日の新聞では、「期間限定」ではなく、「永久値下げ」に決定したとのこと。
仕掛けたのが、発泡酒でシェアNO.1のキリンだったというのが皮肉ですね。
多分、このような一斉値下げは計算外だったと思います。
恩恵を得るのは消費者だけ。
まさに、「自分で自分の首を絞める」ことになってしまったと言えるでしょう。
ビール会社は、これから先も、「体力勝負」の時代が続きそうです。
各社はそうしたことを見込んで、近年、「総合飲料メーカー」としての戦略を打ち出していますが、果たして今後どうなるか?
「冷たい商品」における「熱い戦い」に注目しましょう。
英国発の役員テスト
7月5日、東京・大手町の経団連会館で開かれた「役員認証制度」の第3期合格者として7人が新たに「ディプロマ(役員認証)」の称号を得た。7科目15日間の研修と5部門の試験という難関を乗り越えた成果だ。
この制度は元々、英経営者協会が上場を控えた企業向けに株式公開企業の経営者たりうる人材を育成するため1998年から始めた。英国での認証取得者は500人に達し、企業評価にも反映されるなど年々定着している。
国内では日本能率協会が1999年に提携して導入し、2000年11月から研修プログラムを開始した。
研修は取締役や執行役員に必要な経営知識を体系的に習得するため、「コーポレートガバナンス」「経営戦略」「財務・会計」「組織開発」「業績・経営品質向上」「人事・人材マネジメント戦略」「マーケティング戦略」の7科目を設定。2年以内に全科目を受講し試験に合格すれば、「ディプロマ」の称号が与えられる。
                     <2002年7月24日 日経産業新聞>
<ポイント>
私もコンサルタントになって数年後に中小企業診断士の勉強をし、資格を取得しました。
コンサルタントの職業は別に資格が必要なものではないので、資格を取得したからと言って、特に何かが変わる訳では無いのですが、私には、ちょっとした「思い」がありました。
それは、「体系的に勉強したい」ということ。
私の場合は、大した知識も持たずにコンサルティングの世界に入ってしまったので、いつも、心の中で「これで本当に良いのか」という気持ちがありました。
意思が強ければ、日々の仕事をしながら自己啓発で勉強できるのでしょうが、私の場合はダメ。
「忙しさ」にかまけて3日坊主になることが常でした。
そこで考えたのは、「資格」を取ること。
休みの日に学校に通ったり、お金をかなりかけますので、引くに引けなくなります。
資格取得まで2年かかりましたが、振り返ると、「やって良かった」と思います。
体系的に勉強したおかげで、経営に関する基礎的なことはほぼ理解できたと思っています。
今回の「役員認証制度」についても同じような目的で取得している人が多いのではないでしょうか。
勉強したことが即、日常の仕事の中で生かせるかどうかは別として、役員として知っておくべき基本的な知識を体系的に理解したい。
そんな気持ちには共感します。
ちなみに、新聞に問題例が書いてありました。
答えは本誌の最後に書いておきます。
<問題例>
(1)取締役次のうちいずれに対して直接の義務を負うか?
A:株主  B:従業員  C:取締役会  D:会社
(2)「解任の訴」に至る取締役解任手続きにおいて最も確実な方法はA〜Dのうちどれか?
 @少数株主による株主総会召集
 A取締役職務執行停止の仮処分 
 B解任議案の否決 
 C取締役職務代行選任の仮処分
A:@→B→A→C  B:A→C→@→B
C:C→A→@→B  D:@→B→C→A
日立精機が民事再生手続き 
日立精機 は2002年8月19日付けで東京地方裁判所に民事再生手続きの申立をし、
受理された。 負債総額は504億円と、池貝の271億円を上回った。 
同社は戦前には日本最大の工作機械メーカーで、1937年には国産初のタレット旋盤を開発、戦後の1958年にはファナック(当時は富士通の一部門)と共同で国産初のNCフライス盤を開発するなど、日本の工作機械技術を担ってきた。 
最近もパラレルリンクメカニズムや「逆立ち旋盤」の実用化で他社に一歩先んじていた。 こうした技術力を評価し、森精機製作所が事業譲渡を含めた支援を表明した。
                    <2002年 8月21日 日本経済新聞>
実は、私は3年ほど前、この日立精機で、1度研修講師を勤めたことがあります。
テーマは「問題をいかに発見し、解決策を導き出すか」。
各部から30代の若手が十数名集まり、研修の中で実際に日立精機の問題を抽出し、解決策を検討しました。
私もこれまで、いろいろな会社で研修を行いましたが、この研修は全く「異例」なものでした。
というのは、この研修は、会社のオフィシャルなものではなかったのです。
現在の前田社長が経営企画室長当時に、日立精機の状況を憂いて、独自に優秀な若手メンバーに声をかけ集めたのです。
ですから、実施した日はもちろん休日。
費用は、前田氏のポケットマネーでした。(ちなみに、パソコン1台は楽に買える金額です)
その後、研修に集められたメンバーは、月2回、土曜日に手弁当で出社し、会社の将来について、多面的に検討して行きました。
そして、2年前、前田氏が社長に就任し、実際に改革が始動しました。
平の取締役からの、いきなりの昇格でしたが、会社としても前田氏に社運をかけたのでしょう。
前田氏は、その後、矢継ぎ早に対策を講じました。
それまで社内でタブー視されていた人員削減を行ったり、本社の土地を売却したり、他社と販売提携したり…。
聞いた話では、改革の過程の中で、当時召集された若手メンバーが重要な役割を果たしていたそうです。
しかし…。
結果的には、業績低迷に歯止めをかけることができずに、8月19日に至った訳です。
記者会見での前田社長の言葉には悔しさがにじみでていました。
「改革のスピードが、業績悪化のスピードについて行けなかった…」
この言葉の裏には、きっと、「もう少し時間があったら」という思いがあったのでしょう。
何年もコンサルをやっていると、たまに今回のように、昔お付き合いがあった会社が倒産することに遭遇します。
そして、そのたびに思うこと。
「もっと早く手をつけていれば、きっと生き残れたのに…」
ビジネスの世界で「たら、れば」はありませんが、本当にそのように実感します。
医療機能評価機構が病院評価をネット公開
日本医療機能評価機構は9月から、病院機能評価制度の評価結果をホームページで公開した。
各病院の管理体制や患者満足度などを、約200の項目別に5段階で評価したもので、患者が病院選定に指標として活用できる。
「評価結果の公表の検討を開始した2000年の調査では『情報をすべて公表すべきだ』とした病院は2割にとどまった。しかし、ふたをあけると7割にあたる約500病院が公表を承諾。一部には否定的な医療機関があるのは確かだが、確実にこの2年間で医療機関の意識は変化している」専務理事の伊賀氏は語る。
                    <2002年 9月25日 日経産業新聞>
日本医療機能評価機構は、厚生労働省、日本医師会、日本病院会等が出資する財団法人です。
医療機関の機能を中立的な立場から評価する第三者機関であり、1995年に設立されました。
この制度は「病院ISO」とも呼ばれ、ある一定の基準をクリアした病院を「認定病院」として認証しています。
本年8月現在、全国で725の病院が認定されています。
私もコンサルティングの仕事の中で、何度か病院関係の方々にお話をうかがうことがありました。
その中で強く印象に残っている話は、「これからの病院は選ばれなければ生き残れない」ということ。
地域を代表する大病院でも、経営的には決して楽ではないそうです。
「病院=事務的・官僚的」というイメージがあった私にとって、ちょっと意外な言葉でした。
その方は、千葉県津田沼市の某病院の事務部門の方でしたが、確かに、病院の中を歩いてみると、びっくりすることばかり。
トイレの内装は木目調で、グリーンまで置いてありました。
まるで、どこかのシティホテルのトイレのようです。
最近、毎日のように医療事故を耳にします。
その度に、「病院は本当に信頼できるのか?」という気持ちが湧いてきます。
だからこそ、今回の記事のような「情報公開」の必要性が高まるのでしょう。
「自分たちの病院は他の病院とは違います! 安心して来てください!」
情報をオープンにすることによって、差別化を図るとともに、病院内での業務改善を加速させているのでしょう。
下記が医療機能評価機構のホームページアドレスです。
その中で、各病院の評価結果が閲覧できますが、予想以上の内容ですよ。
一度、ご覧になってはいかがですか?
http://jcqhc.or.jp
アマダが板金加工用NCプログラムを2日以内に作成
アマダは板金機械に曲げや穴明けなど加工指示を出す数値制御(NC)プログラムの受託作成サービスを年内に始める。顧客が受注した板金加工の設計図面を受け取ると48時間以内に最適なNCプログラムを作り提供する。当初月400万円の売上高を目指す。
                    <2002年 10月24日 日経産業新聞>
工作機械業界は、日立精機が倒産する等、競争がますます激化しています。
技術の成熟化により、製品の基本性能による差別化が難しくなる中で、各社は、アフターサービス等の付加価値提供に注力しています。
今回のアマダのケースも狙いは同じです。
機械という「ハード」を売るだけでなく、NCプログラム作成という「ソフト」も販売す
るアマダは、もはや「2.5次産業」の企業と言えるでしょう。
私が今後注目しているのは金融機能です。
今でも、リコー等、リース会社等を有する企業はありますが、こうした機能の強化が必要になるでしょう。
機械を購入した後のサービスだけでなく、買う時の資金も調達してあげる。
このような総合力が重要になると思います。